📝 この記事でわかること
- ダイナミックプライシングは、需要に応じて客室料金を自動で上げ下げするだけの仕組みだとわかる
- 料金を決めるRMSと、決まった料金を各OTAへ配るサイトコントローラー・PMSは別物だとわかる
- TEMAIRAZU・ねっぱん・Mewsを比較した上で、在庫一元化が先か値付けからでいいか判断できる
ダイナミックプライシングという言葉で検索してここに来たなら、知りたいことは二つに絞れる。仕組みと、10室や30室のうちにも要るのか。先に答えを置く。仕組みは「需要に合わせて客室料金を自動で上下させる」というだけのもので、要るかどうかは室数と、手元に何か月分の販売実績があるかで決まる。
この記事は道具の入り口までを整理する。料金を動かす道具と、動かした結果の予約を受ける在庫・PMSは別物だ。ここを混同したまま製品を探すと、営業の話とかみ合わなくなる。
需要に合わせて料金を上下させる、という考え方
ダイナミックプライシングは、空席が多い日は下げ、埋まりそうな日は上げる。需要に合わせて値が動く価格の付け方で、特別な魔法ではない。
宿の現場に置き換えるとこうなる。連休や地元のイベント週末は、放っておいても売れる。逆に平日の谷は、同じ料金のままでは空室のまま夜を迎える。この上げ下げを担当者の勘と手作業だけで回すと、繁忙期は判断が一拍遅れ、閑散期は下げ忘れが出る。需要のパターンを読んで料金を自動で当てにいく、それがこの仕組みの狙いだ。
ただし料金を上げ下げしても、その料金が全ての販売窓口へ同時に反映されなければ意味がない。ここで在庫側の話につながる。
料金を動かす道具と、予約を受ける在庫は別物
宿の値付けには二つの層がある。需要を読んで「いくらにするか」を決める層と、決まった料金と在庫を各OTA・自社サイトへ配る層だ。前者がレベニューマネジメント(RMS)、後者がサイトコントローラーやPMSにあたる。混ざって見えるが、役割は分かれている。
TEMAIRAZU(手間いらず)は後者の代表格で、在庫・料金・予約を一元管理するサイトコントローラーだ。楽天トラベル、じゃらん、Booking.com、Expedia、Airbnbなどをまとめて扱い、公式はシステム連携数300以上をうたう。つなぎ先が多いほど、料金を一度変えたときに手で直す窓口が減る。値付けを担うレベニューマネジメント機能も併せ持つが、料金は非公開で、問い合わせになる。
ねっぱんは小〜中規模向けのサイトコントローラーで、料金を公開している数少ない一社だ。本体は5室以下で月額6,600円、6室以上で月額10,780円(税込・初期設定料なし)。10室の宿なら後者にあたり、月1万円強で全OTAへの在庫配信を回せる計算になる。料金を自動で動かすRMS連携はオプション扱いで、初期11,000円・月額6,600円。本体と足すと月1.7万円強で、需要連動の値付けを乗せられるということだ。公開料金の並びはPMS・サイトコントローラー比較表でも横に並べて確かめられる。
MewsはPMSで、予約から決済までを一体で持つ。値付けはレートマネジメント(ダイナミックプライシング)を製品として持ち、外部RMSとの連携も40以上で接続料はかからない。料金はいずれも要見積だ。日本語サイトが無い(/jaは表示されない)ので、英語での導入相談を前提に見ておいたほうがいい。独立系からグループ、長期滞在まで幅広く想定した作りになっている。
料金が動いた後の予約を受ける側がPMSで、これは値付けとは別の道具だ。チェックインや精算まで含めてPMSを選ぶ話は、Hotelsmartなどを並べた宿泊施設向けPMS比較で扱っている。
3社を、道具の種類と効く場所で並べる
| 社名 | 道具の種類 | 料金 | どこに効くか |
|---|---|---|---|
| TEMAIRAZU | サイトコントローラー(RMS機能あり) | 要問い合わせ | 各OTAへの在庫・料金配信と値付け |
| ねっぱん | サイトコントローラー(RMS連携オプション) | 本体 月6,600円(5室以下)/10,780円(6室以上)、RMS連携 初期11,000円・月6,600円 | 在庫配信に値付けを後付けできる |
| Mews | PMS(ダイナミックプライシング機能あり) | 要見積 | 予約・決済・値付けを一体で |
で、結局どれか。まず在庫の一元化ができていない宿は、値付けより先にサイトコントローラーだ。料金を動かしても配る先が手作業のままでは、上げ下げが窓口ごとにずれて事故になる。予約一元管理ツールの比較で足元を固めてからでいい。すでに一元化できているなら、ねっぱんのRMS連携(月6,600円)から試すのが軽い。PMSごと見直す腹づもりなら、Mewsに問い合わせて見積もりを取る。順番はこれだけだ。
始める前に決めておくこと
道具を選ぶ前に、宿の側で三つ決める。ひとつ、何室からやるか。数室の宿なら手で十分に回せる日が多く、自動化の効き目は室数が増えるほど大きくなる。ふたつ、何か月分の販売実績が手元にあるか。需要を読むには過去の売れ方が要る。実績が薄いと、自動でも当てが外れる。みっつ、OTAと自社サイトの料金整合をどう保つか。窓口ごとに値がずれた瞬間、宿泊客は最安値へ流れ、直販の意味が薄れる。
最後に、編集部の本業である広告運用の視点を足しておく。需要が動く時期は、広告の入札単価も同じ方向に動く。人が集まる週末やイベント期は検索広告の競り合いも強まる。つまり料金を上げる局面と、広告費が膨らむ局面は重なる。値付けの表と広告費の月別推移を同じ紙に並べておけば、広告で取りにいく月と、値付けで取る月を分けられる。
まず何をするか。昨年の月別稼働率を、1月から12月まで12個、紙に書き並べてみる。谷と山がはっきり見えた宿だけが、次の一手を選べる。
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よくある質問
Q. 10室の旅館でも入れる意味ある?
A. 室数だけでなく、手元に何か月分の販売実績があるかで変わる。実績が薄いと自動でも当てが外れるので、まず昨年の月別稼働率を並べてみるのが先。
Q. サイトコントローラーとRMSって同じもの?
A. 別物。RMSは料金をいくらにするか決める層、サイトコントローラーは決まった料金を各OTAへ配る層。
Q. 在庫がOTAごとにバラバラなら何から手を付ける?
A. 値付けより先にサイトコントローラーで一元化すべき。
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